今回は歯科衛生士らしく、私の考える虫歯の原因について。
分子栄養学的観点からみると、虫歯の原因にも、現代人特有な要因が見えてきます。
間食指導してもなかなか虫歯が減らないと嘆く現役歯科衛生士の皆さん。
今回の記事で、少しでも新しい気づきがあれば幸いです。
目次
虫歯予防のための間食指導の実際
虫歯になりやすい人、または小さいお子さんを持つ親御さんは
歯科医院でこんな指導を一度は受けたことがあると思います。
『砂糖は虫歯菌のエサとなるので、甘いお菓子は控えてください』
『間食が多いと再石灰化が進まないので、虫歯になりやすいですよ』
しかし、いくら甘いものを控えたくても、間食をやめたくても、
なかなかやめられない人が多いのではないでしょうか。
引用*http://takenoyama-dc.jp/news/284/
実際、歯科衛生士として、虫歯にならないように間食指導しても、ジュースがやめられない、仕事の合間のチョコレートがやめられないなんて人は少なくありません。
虫歯予防のために、間食をやめられる人なんて、実は少ない気がしています。
なぜ、間食してしまうのか
虫歯を予防するために、『なぜ、間食をしてしまうのか』という視点を持つことはとても大切です。
子供は3食の食事だけでは1日のエネルギーを補いきれないので、補食が必要となり、間食を欲しがることは自然なことと言えます。
しかし、大人はというと、3食きっちり食べている人であれば、食事で1日の活動量を補うエネルギーは摂れている人が多いはずです。
では、なぜエネルギーは足りているにもかかわらず、間食してしまうのでしょうか。
その原因の一つとして、『低血糖』という症状が考えられます。
低血糖と間食の関係
『低血糖』とは、血液中のブドウ糖が少なくなった状態を指します。具体的には、血糖値が70mg/dl以下の場合をいいます。
こうなると、細胞レベルで糖(エネルギー)が枯渇しているので、手っ取り早く血糖値上げるために無性に甘いものが食べたくなる傾向があります。
低血糖になると、下記のような症状が現れます。
- 空腹
- 眠気
- 手足先の冷え
- 発汗(冷や汗)
- 不安
- 動悸
- 震え
日中どうしようもない眠気が襲ってきたり、無性に甘いものが食べたくなる人は、『低血糖』の症状かもしれません。
実は、この低血糖の症状は、現代人に多くみられる症状です。
血糖値を上げるために、甘いものを食べたくなる他に、コーヒーを飲みたくなる人もいます。
コーヒーに含まれるカフェインには、交感神経を刺激して血糖値を上げるホルモン(アドレナリン)を分泌させる作用があります。要はドーピング作用ですね。
しかし、毎日これを繰り返してしまうと、身体には負担ですので疲れやすくなっていきます。
低血糖の原因とは?
では、なぜ低血糖の状態になってしまうのか。
これには現代特有の原因が2つ考えられます。
- ストレスによるコルチゾール不足
- 食後高血糖からの反応性低血糖
それぞれ簡単に説明します。
①ストレスによるコルチゾール不足
私たちは持続するストレス(仕事や人間関係、環境要因、体内の炎症、重金属などの汚染)を受けていると、ストレスに対抗するホルモン=コルチゾールを分泌する副腎という臓器が疲弊してきます。(お酒を毎日飲んでいると肝機能が低下するのと一緒ですね。)
酷使された副腎の機能が低下すると、このコルチゾールというホルモンの生産も低下し、分泌が減ってしまいます(この病態を副腎疲労といいます)。
実はこのコルチゾール、ストレスがなくても常に少し分泌されていて血糖値を維持する働きがあります。
つまり、持続するストレスを受けて副腎機能が低下している人は、コルチゾールの分泌が低下し、血糖値の維持もきちんとできない状態ということ。
なので、空腹になると血糖値が保てず低血糖になりやすく、『ちょこちょこ間食してしまう』ということが起きているのです。
②食後高血糖による反応性低血糖
現代の食事は、よほど気をつけていない限り、食後高血糖になりやすい。
外食やコンビニのお米にしても、ふっくら甘く炊くための酵素(ミオラ)が使われており、血糖値を上げやすいですし、調味料一つとってもブドウ糖果糖液糖や砂糖・水飴が添加されてます。知らず知らずのうちに、血糖値が上がりやすくなっているのです。
それに加え、インスリン(血糖を下げるホルモン)の効きが悪い。
というのは、インスリンを効かせるために『亜鉛』というミネラルが必要なのですが、食品添加物を摂取するとこの亜鉛が体内に吸収されずに排泄されてしまうので、現代人は亜鉛不足の人が多いからなんです。
これらの要因があって食後高血糖になると、インスリンが過剰に分泌されます。
インスリンが過剰に分泌されると、血中の糖を細胞に取り込みすぎて、今度は血中の糖が足りなくなるのです。
これが、“反応性低血糖”の状態。
そうすると、身体はまた糖を欲するという悪循環になり、間食がやめられないのです。
低血糖を予防することが、虫歯予防につながるかもしれない
歯科衛生士として臨床で指導してきて11年。
私の中では最近、間食指導の在り方が変わってきています。
”なぜ、間食をしてしまうのか”
そこに視点を置いて患者さんとコミュニケーションをとっていると、解決すべき問題が見えてくることがあります。
また、間食をやめられないなら、
- どういう糖質を摂るべきが
- どのくらいの糖質量をどの頻度で摂ることで低血糖と虫歯をコントロールするのか
これらを具体的に指導するようになったことで、より患者さんが実践してくれるようになりました。
『虫歯になりやすいから、間食はやめましょう』
という指導から
『間食してしまうには理由があります。では、その原因と虫歯にならない食事をお伝えします』
という指導に変化したことで、患者さんのお口の健康により寄り添えるようになったと実感しています。
具体的な指導については歯科向けセミナーでお伝えしています(開催リクエスト募集中)。
ぜひ、セミナーに遊びにいらしてください。
