敏感すぎる人(HSP : Highly Sensitive Person)の人は
遺伝的に敏感になる体質であることが原因なのではないかと考えています。
ここで取り上げるのは『ビタミンB6不足』。
B6は、特に神経伝達物質の代謝に多く関わっている栄養素の一つ。
これまでの記事でもB6不足の症状は多く取り上げていますが、
遺伝的にこのB6が不足しやすい体質の人がいます。
目次
B6不足で妄想、不安、強迫観念、うつ、騒音過敏が起こる
脳の B6 濃度は血中の 100 倍もあり、精神機能に大きく関わっています。
B6 が不足するとイライラ、うつ、短期記憶障害を起こします。
この理由は、 B6 がセロトニン、ドーパミン、GABA の生成に必要だからです。
脳は栄養の影響を受けやすい臓器。
脳が働くためには適切量の神経伝達物質が必要で、それは脳細胞内の酵素反応によって作られます。
先天的、後天的にかかわらず B6 不足があるとセロトニン(とメラトニン)を十分に作り出せないため、
うつ、不眠、強迫神経症などの精神疾患を起こしやすくなります。
GABA は、合成と調節に亜鉛とビタミン B6 が必要です。
B6 不足は
- 血液検査でGOT>GPT
- 尿素窒素↓(一桁)
- 尿中ピロール量
で判断します。
遺伝的にB6不足になりやすい“ピロール障害”
ピロールとは、ヘモグロビンの主要な構成物です。
不要なピロールは尿中に排泄されます。
遺伝的にこのピロールを多く産生する人は、慢性の B6,亜鉛不足を引き起こします。
なぜかというと、ピロールはB6(P5P) や亜鉛との結合相性がよいため、
これらと結合して体外に排泄してしまうということが起きるのです。
このような体質による障害を、“ピロール障害”と言います。
生まれつきB6・亜鉛不足になりやすいため、10歳になる頃には症状が出はじめます。
【ピロール障害の特徴】
- 気分の変動(双極性障害と診断されやすい)
- ストレスに対応できない
- 倦怠感
- 夢が思い出せない(短期記憶障害)
- 肌が白く日焼けができない
- 朝に弱く、気持ちが悪い
- 明るい光や騒音に敏感
- 生理不順や無月経、PMS・PMDDの症状が強い(女性の場合)
- 心の内面の緊張
- 読書障害
分子栄養学実践講座 講義内容より抜粋
ストレスやトラウマがひきがねとなって症状が悪化、うつ傾向になるようです。
全ての症状が当てはまるとは限りませんが、こういった症状が強い人は、一度検査を受けてみるといいでしょう。
ビタミンB6不足は後天的にも起こりやすい
また、遺伝的な要因だけでなく、
酸化ストレスが高い場合も尿中ピロールレベルを上昇させる事がわかっています。
多くの人が精神ストレスや病気、感染、トラウマ、有害金属などによりピロールが上昇します。
そうすると結果的にB6 不足となるために、脳におけるセロトニン、ドーパミン、GABA 低下を引き起こします。
また、B6は腸内細菌によって合成されるので、便秘など腸内環境が悪い人もB6不足になります。
B6とセロトニン、腸内環境の関係についてはこちら
ピロール障害の人は副腎疲労を併発する
先に説明した通り、慢性的なB6不足があると、不安感やイライラ、不眠など精神的ストレスも感じやすくなります。
慢性的にストレスを感じやすいということは、
扁桃体を刺激し、コルチゾールを慢性的に分泌する要素と言えるでしょう。
副腎疲労の背景にはピロール障害が隠れている人がいるのではないかと、わたしは考えます。
B6不足の症状を改善するには
精神的な症状は B6,亜鉛投与により軽減、消失し、ピロールレベルも正常化するそうです。
遺伝的にB6・亜鉛を消費してしまうピロール障害の人は、排泄が進んでしまうため食事では間に合いません。
サプリメントでの補給が望ましいでしょう。
Country Life, P-5-P (ピリドキサール 5′ リン酸)、50 mg、100錠
ストレス要因でピロールが上がる人は、原因の除去が必要です。
- 身体のどこかに慢性炎症を抱えていないか(腸の炎症や蓄膿症、上咽頭炎、歯周病、根尖病巣、アトピーなどの慢性炎症)
- 昇華していないトラウマを抱えたまま生きていないか(不安定な家庭環境、いじめなど。思い出すだけで体が緊張するような出来事)
- ストレス環境に身を置いていないか(人間関係、仕事、住居など)
ストレスを自覚し、ストレッサーを排除することも重要です。
おわりに
わたしは子供の頃から少しの物音で寝付けなくなったり、漠然とした不安感で眠れない夜も多々ありました。共感力の高さから人と関わることが煩わしく、中高生の時は友達とも距離を置いていました。
社会人になってからは仕事中に極度の緊張や不安で、パニックになることもありました。
生理前のPMS症状も重いなど、軒並みB6不足の症状と一致していたのです。
実は家庭環境が不安定で小さい頃から長年ストレスを抱えて、ずっと便秘でした。
このことから、遺伝的ではなく、後天的なB6不足が慢性的にあったのだと思います。
そんなわたしには腸内環境の改善とB6(P5P)のサプリメントは効果がありました。
あくまでもこれらは推測であり、個人的な感想と見解です。
生まれつきなのか、後天的に獲得したのかに関わらず、HSP (Highly Sensitive Person)の特徴を持っていることで、生きづらさを抱えている人は多いと感じます。
栄養療法の知識がお役に立てれば幸いです。
PMS /PMDDとB6の関係についてはこちら。
