私は歯科衛生士という職業柄、姿勢と細やかな手技でとっても肩こりやすい。
いくらストレッチやヨガをしても、すぐガチガチに戻ってしまうし、夕方には頭痛がしてくることも。
どうにかならないかと悩んでいましたが、ある栄養素が、筋肉の緊張を和らげ、生理痛の改善にも効果があるということを知りました。
それが、マグネシウムです。
ここでは肩こりや筋肉の緊張を緩める働きのあるマグネシウムの効果についてご紹介します。
目次
マグネシウムの3つの働き
マグネシウムは主に骨や筋肉に存在しています。
カルシウムと一緒に働き
- 骨の強化
- 血流の促進
- 血圧の調整
を行なっています。
また、体内の約300種類もの酵素を活性化させる働きもあり、体内の代謝を助けています。
神経の情報伝達にも関わっており、正常な脳機能、健全な精神を保つ働きもあります。
マグネシウムが不足すると、これらの働きが低下するため、様々な不調が現れます。
マグネシウム不足で起こる肩こり・頭痛
マグネシウムとカルシウムは同族元素で、体内で相対しながら協働しています。
カルシウムが働きすぎるとマグネシウムがそれを抑え、マグネシウムが働きすぎると今度はそれをカルシウムが抑えます。
この2つのミネラルは筋肉や血管の収縮と弛緩を調整する働きをもち、
カルシウムは筋肉を収縮させ、マグネシウムは筋肉を弛緩させます。
同様に、血管の収縮にも関係し、カルシウムは血管を収縮させ、マグネシウムはそれを緩めます。
このバランスが崩れマグネシウムが不足すると、筋肉が緊張し続けて肩が凝ったり、血流障害や緊張性頭痛の原因となったりします。
マグネシウムで生理痛も緩和される
生理痛はプロスタグランジンの過剰分泌により、子宮の収縮が過剰になることで起こります。
マグネシウムは子宮の収縮を抑制する働きがあることがわかっています。
プロスタグランジンF2a誘発子宮収縮に対するマグネシウムの作用 マグネシウム添加により濃度依存的に収縮頻度は抑制された。マグネシウムの添加では添加前3.33 g の収縮力に比較して2.47 g と収縮力は顕著に抑制された。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/61/2/61_81/_pdf/-char/jayより抜粋
痛みが辛いという人は生理時にはマグネシウムの補給をしてあげると、子宮の痛みが緩和されるかもしれません。
現代人は消費しやすい
マグネシウムを消費させる3大要因はストレス、飲酒、運動です。
ストレスによってマグネシウムは大量に消費され、尿や汗に出ていってしまいます。
アルコールを大量に飲むと、尿と一緒にマグネシウムも多量に排出されてしまいます。
そして、マグネシウムは運動にも欠かせないミネラルです。筋肉収縮、酸素摂取、エネルギー(ATP)産生、電解質バランスなど、運動に関係のある生体機能において重要な働きを担っているため、運動時には需要が高まり、多くのマグネシウムが消費されます。
ジム通い、筋トレ、トライアスロンなど、健康や体型維持のために運動をする人も多いですが、消費する分を意識して摂取しないと、返って不調を招く原因になりかねません。
参考:アスリートの必須ミネラル
マグネシウムを効率よく補給する方法
マグネシウムはこのように消費されやすいミネラルですが、吸収が難しいので、効率よく補給するにはコツがあります。
3つのポイントを押さえて、上手に摂取しましょう。
- 液体でとる
- 有機酸と一緒にとる
- 腸内環境を整えておく
1、液体でとる
液体に溶けやすいマグネシウムは、液体に溶けにくい形のマグネシウムより腸からの吸収が良いことがわかっています。
硬度の高いミネラルウォーターや、にがりを飲み物や料理に数滴垂らして摂取すると、効率よくマグネシウムを補給できます。
2、有機酸と一緒に摂る
お酢、トマト、レモン、梅干しなど、酸味のあるものに含まれる有機酸には、胃酸の分泌を促進してミネラルを吸収しやすくする働きがあります。胃酸が十分に出ていれば問題ありませんが、日本人はもともと胃酸分泌が少なく、ストレスで胃が萎縮している人が多いです。緊張やストレスで胃腸の働きが低下している人は有機酸を含む食材を意識して摂ることをおすすめします。
食事の際にレモン水にしたり、飲み会であれば梅干しサワーや生搾りの柑橘類のサワーにしてみるのも良いかもしれません。(と言っても、お酒の飲み過ぎはマグネシウムの消費を促すことおをお忘れななく!)
3、腸内環境を整える
便秘気味、便が臭い、お腹が張るなどは腸内環境悪化のサインです。
マグネシウムが腸粘膜から吸収されるためには、イオン化・キレート化されることが必要です。食物中の有機化合物に結合しているミネラルは、イオンになるために胃酸や腸内の有機酸の助けが必要です。
また、腸内の善玉菌が食物繊維をエサに短鎖脂肪酸を作り、それが食物中のミネラルをキレートしてくれるのですが、食物繊維不足や腸内環境悪化で善玉菌が少ないと、せっかく入ってきたマグネシウムをキレートできず、吸収されずに排泄されてしまうのです。
乳酸菌や食物繊維を意識して摂り、普段から腸内環境を整えておくことも、マグネシウム不足の予防になります。
マグネシウムを多く含む食材と、気をつけるべき食材
マグネシウムを多く含む食材は、海藻類(特にワカメ、あおさ、ひじき)、イカ・えび・たこ・貝類、豆・大豆製品、ナッツ(特にアーモンド)などです。
春が旬のホタルイカはワカメと酢味噌でいただくことが多いので、お酒を飲む席でのマグネシウム補給には最高のおつまみです。
また、料理に使うお塩はミネラル豊富でマグネシウムの含有量も高いぬちまーすか雪塩がオススメです。塩辛くなくマイルドで優しい塩気です。お肉のソテーや豆腐につけても美味しいです。
気をつけたい食品は、ハム・ベーコン・ウインナーなどの加工肉。加工肉などで使用されるリン酸塩はマグネシウムとの結合力が非常に高く、吸収を阻害します。
忙しい毎日で、調理も簡単で保存がきく加工品の多い食事になりがちな現代ですが、こういった加工品はなるべく控えたいものです。
また、チーズやヨーグルト、牛乳などの高カルシウム食品は、マグネシウムとのバランスが崩れやすいので、摂りすぎには要注意です。
マグネシウムは経皮吸収が効率的!リラックス効果も
マグネシウムの消化・吸収には胃腸が整っていることが大事です。
食事での補充が難しかったり、疲れて胃腸機能が低下しているな…なんて時におすすめなのが、入浴でマグネシウムを補給する方法。
筋肉を緩め血管拡張作用で血流を促進、疲労物質を流し冷えの解消も期待できるので、疲れているときこそマグネシウム入浴!神経の緊張も和らげてくれるので、リラックス効果がすごいです。ぐっすり眠れます。
子宮の筋肉の痙攣を和らげてくれる作用もあるので、生理前・中の子宮の収縮の痛みも軽減してくれます。
Life Flo Health, ピュア・マグネシウム・フレーク, 塩化マグネシウムブライン, 2.75ポンド (44オンス)
マグネシウム不足で起こる症状まとめ
- 肩こり、首の痛み(筋緊張)
- 線維筋痛症(持続的な筋の緊張)
- 気管支喘息(気管支平滑筋の緊張)
- 心臓(不整脈、狭心症)
- 高血圧(血管平滑筋の緊張)
- 糖尿病、低血糖症(インスリン制御にかかわる)
- 便秘(腸機能低下)
- 偏頭痛(セロトニンバランス)
- 血管れん縮 (血管内皮細胞内への カルシウムの過剰流入による)
- 妊娠高血圧症候群(妊娠後期に見られる高血圧とタンパク尿、子宮動脈のれん縮)
- 骨粗鬆症(骨芽細胞の調整)
終わりに
日本の天然水はほとんど軟水でミネラルが少ないうえ、欧米の食文化の影響で海藻類も昔ほど食べなくなり、塩も砂糖も精製されミネラルがなく、食事からのマグネシウム摂取量は減っています。
それなのに、ストレス社会で消費は激しい。日本人のほとんどはマグネシウム不足だそうです。
日本人に足りないミネラルといえばカルシウムと思われていましたが、近年ではむしろ摂りすぎな傾向にあり、マグネシウムとのバランスが指摘されています。
マグネシウムはストレス社会に必須栄養素です。
心身ともにカチカチになったら、ぜひ、マグネシウムを補給してあげてください。
