生理前のイライラや不安など、PMSやPMDDの症状の原因はこちらで解説しました。
生理前を快適に過ごすキーポイントは、『COMT』という酵素を活性化することです。
『COMT』という酵素は、女性ホルモンのエストロゲンと脳内伝達物質のドーパミンの代謝に関わっています。
この酵素の活性が悪いとPMS /PMDDなど『月経前症候群』の症状が出ます。
この記事では、生理前を快適に過ごす重要因子である『COMT』を活性化する栄養療法的アプローチをお伝えします。
目次
COMTは遺伝的に活性が弱い人がいる
COMTの働きとPMS /PMDDの関係についてはこちらをご参照ください。
COMTの酵素活性が弱い原因には2つあります。
- 遺伝的に活性が弱い
- 材料(栄養)不足で活性ができていない
この2つの要因を補うには、栄養を充足させることです。
COMTを活性化するビタミンB6
COMTを活性する代表的な補酵素はビタミンB6です。
この栄養素が作用してはじめて活性化されます。
例えば、
- 腸内環境が悪くてビタミンB群が体内で作れてない人
- 胃腸が弱くてお肉(B6の供給源)をあまり食べられてない人
そんな人は十分にB6が供給されないので、B6不足でCOMTの働きが悪く、エストロゲンもアドレナリンも過剰になる。
代謝されるはずのエストロゲンが体内に滞り、排卵日を過ぎてもエストロゲンの作用が強く出てしまう。
そうすると分泌が増えてくるプロゲステロンのとバランスが崩れ、変に胸が張りすぎたり、経血が多くなったりとなんらかの不調に繋がるのではないかと推測できます。
分子栄養学的所見で言うと、血液検査で
- ALTよりASTの値が2以上の差で低い人
- 尿素窒素(BUN)が低い人
は、材料不足でCOMTの活性が低くなっていると推測できます。
ビタミンB6をCOMTに運ぶメチレーション回路
COMTがB6により活性されるのは、メチル化によって起こる反応の一つです。
メチル化するにはメチル基を受け渡す回路(メチレーション回路)を回す必要があり、回路を回すのに必要な栄養素は
SAMe、B12、葉酸、マグネシウムです。
これらの栄養素が極端に不足することでも、メチル化によるB6の受け渡しが低下するので、COMTの働きが低下します。
【COMTを活性化させる・不活性化させる作用のあるもの】
COMT活性上げる▶︎B6、SAMe、B12、葉酸、マグネシウム、抑肝散(漢方) COMT活性低下させる▶︎コーヒー、カテキン、チョコ
B6、B 12、葉酸はレバーに豊富です。
生理前にイライラ興奮する人は、B6、B12、葉酸、マグネシウムを意識した食事でCOMTを活性化しましょう。
食事で改善しないならサプリメントや漢方を活用する
例えば、
- ブレイクタイムにカフェラテを飲み
- 疲れたらチョコレートをつまみ
- 忙しいとコンビニ弁当やインスタント食品
- パスタやうどん、パンが好きで
- お酒を飲み
- 便秘がちで
- お肉食べない
こんな生活をしているなら、これらを見直すだけである程度症状は改善してくるでしょう。
便秘改善はこちら。
しかし、食事だけではなかなか改善できない人は、消化吸収の問題があったり、遺伝的な要因で酵素を活性化するのにより多くの栄養素が必要である場合があります。
そういう場合は、一時的にサプリメントでの補充をすることで楽になるかもしれません。
ビタミンB6,B12 ,葉酸
私の愛用はソーンのB-comp#6。
- ピリドキシンHClとして106mgから85mg
- ピリドキサール5′-リン酸として25mgから15mg
と、活性型と非活性型のB6がバランスよく配合され、メチレーション回路を回すB 12や活性型葉酸も含みます。
Thorne Research, B-Complex #6, 60 Capsules
マグネシウム
マグネシウムの効果や補給についてはこちらもご参考ください。
マグネシウムの一番効率の良い補給方法は液体で摂ること。
手っ取り早く取り入れるにはにがりがおすすめ。
iherbで購入するならトレースミネラルが一押し。
72種類以上の微量ミネラルも含まれています。
Trace Minerals Research, Ionic Magnesium, 400 mg, 2 fl oz (59 ml)
抑肝散
こちらは漢方ですが、抑肝散にはCOMTを活性化する効果が期待できるよう。
もともとイライラに効く漢方として有名ですが、COMTを活性化しアドレナリンの代謝を促すことで効果をあげているのでしょうか。
作用機序についてはまたの機会にまとめたいと思います。
終わりに
生理前のイライラや不安などの精神症状は、一部COMTの酵素活性の状態が関係していることが、多くの研究結果で示されています。
栄養素を充足し酵素の活性に成功すれば、症状を緩和できるかもしれません。
しかし、人それぞれ、必要な栄養の量は違います。
遺伝的に活性が弱い人、消化吸収が悪くて食事からの栄養供給効率が悪い人。
そのような人はサプリメントや漢方を活用することもいいでしょう。
少しでも参考になれば幸いです。
